ブログ

緊急事態で発揮する現場リーダーシップ

  • LINEで送る

突然の災害や緊急事態が起きた時、現場リーダーとして一番大切なことは何でしょうか?
令和7年8月に、熊本県のA園で実際に起こった豪雨災害からの8日間復旧実録を通じて、緊急時に発揮すべき現場リーダーシップと、職員みんなで力を合わせて困難を乗り越える方法を学んでいきましょう。
災害はいつ起こるか分からないからこそ、普段からのチーム作りと、いざという時の対応力が重要になってきます。

緊急時の現場リーダーの役割
災害や緊急事態の時こそ、職員の皆さんの不安を取り除き、みんなで協力して問題を解決していく。そんな現場リーダーシップが、チーム全体を成長させる大きなチャンスになります。

緊急事態での現場リーダーの役割と心構え

パニックにならず、冷静に状況を把握しましょう。A園の園長先生が最初にやったことから学べることは、

・深呼吸して落ち着く:「まずは冷静になろう」と自分に言い聞かせる
・被害状況の確認:どこがダメージを受けたのかを順序立てて把握
・安全の確保:職員と子どもたちの安全が最優先
・組織立った対応:「災害復旧対策本部」のような仕組み作り
・職員への声かけ:「大丈夫、みんなで乗り越えよう」と励ます

次に、現場リーダーが最初の30分でやるべきことは、緊急時の初動対応です。ポイントは、慌てず順序立てて行動することです。この流れを冷静に踏むだけで、その後の行動が格段にスムーズになります。

・職員・子どもの安全確認(5分)
・被害状況の大まかな把握(10分)
・職員への状況説明と不安解消(10分)
・必要な連絡先への第一報(5分)

職員の不安解消とチーム結束の方法

緊急事態が起きると、職員の皆さんも不安になります。「どうしよう」「大丈夫かな」という気持ちを、「みんなで力を合わせれば大丈夫」という前向きな気持ちに変えることが、現場リーダーの大切な役割です。

  1. まずは職員の心のケアから始めましょう。

不安が広がっている時はチームがまとまりません。
・「どうしよう、どうしよう」とパニックになる
・一人ひとりがバラバラに動いてしまう
・問題が大きく見えて、解決が困難に感じる

リーダーが声をかけたは、チーム一丸となって対応できます。
・「大変だけど、みんなで協力すれば大丈夫」と安心
・それぞれの役割が明確になり、行動しやすくなる
・「困った時はお互い様」の雰囲気が生まれる

  1. みんなで情報を共有して、透明性を保ちましょう。

・正直に状況を伝える:隠さずに、今どんな状況なのかを説明
・復旧の見通しを話す:「〇日くらいで復旧予定」など、目標を共有
・みんなの頑張りを認める:「皆さんのおかげで順調に進んでいます」
・困ったことは相談を:「一人で抱え込まず、何でも相談して」

危機対応チームの作り方と役割分担

A園の「災害復旧対策本部」から学ぶ組織作り
緊急時こそ、みんなが迷わず行動できるように役割分担を明確にしましょう。

・現場指揮者(主任クラス):全体の調整と職員への指示出し
・安全・連絡係:保護者連絡と安全管理を担当
・復旧作業係:清掃や片付けなどの実作業チーム
・記録係:写真撮影や状況記録を担当
・物資・調達係:必要な道具や材料の調達担当

役割分担の具体的な進め方
チーム編成のコツ:
・得意分野を活かした配置(コミュニケーション上手→連絡係など)
・新人とベテランをペアにして安心感を提供
・30分ごとに進捗確認と休憩を設ける
・「今日のMVP」を決めて、頑張りを認め合う
効果:
みんなが力を発揮できる

職員のモチベーション維持と成長機会の提供

大変な時こそ、成長のチャンスに変える
緊急事態は確かに大変ですが、普段では経験できない貴重な学びの機会でもあります。

・チームワークの大切さ:みんなで協力することの素晴らしさを実感
・問題解決力の向上:「どうすれば解決できるか」を考える力が身につく
・臨機応変な対応力:予想外の状況でも落ち着いて行動できるように
・達成感の共有:困難を乗り越えた時の喜びを皆で味わう

復旧作業を通じた人材育成のポイント
・新人職員には先輩がサポートにつき、安心して作業できるようにする
・それぞれの頑張りを具体的に褒めて、自信をつけてもらう
・作業の意味を説明して、「なぜこの作業が必要なのか」を理解してもらう
・終了後には振り返りの時間を設け、学んだことを共有する

緊急時コミュニケーションの取り方

情報をわかりやすく、正確に伝える
緊急時だからこそ、コミュニケーションの質が重要になります。

・簡潔で明確に:「〇時に〇〇を〇〇で行います」のように具体的に
・不安を取り除く言葉:「大変ですが、計画通り進んでいます」
・感謝を忘れずに:「皆さんのおかげで助かっています」
・定期的な進捗報告:1時間に1回は全体の状況を共有

保護者への連絡も大切なリーダーシップ
保護者対応のポイント:
・被害状況を隠さずに正直に報告
・復旧予定と保育再開の見通しを伝える
・職員の頑張りも併せて報告し、安心感を提供
・写真付きで復旧作業の様子を共有
効果:保護者からの信頼が深まる

事後振り返りによるチーム力向上

復旧後の振り返りが一番大切
緊急事態が終わった後の振り返りで、チーム全体がより成長できます。

・良かったことの共有:「〇〇さんの機転で助かりました」
・改善点の洗い出し:「次はもっとこうしよう」をみんなで考える
・学んだことの整理:「今回の経験で何を学べたか」
・チームワークの再確認:「みんなで協力できて良かった」

次への備えも一緒に考えよう
振り返りミーティングの進め方:
・復旧完了から1週間以内に実施
・職員全員が参加できる時間を設定
・「感謝」「学び」「改善」の3つの視点で話し合い
・次回への準備についても具体的に計画
時間:1-2時間程度
振り返りの効果:
・職員同士の絆がより深まる
・次の緊急時への準備ができる
・チーム全体の成長を実感
結果:より強いチームに成長

普段からできる緊急時対応力の向上

緊急事態への対応力は、普段の職場づくりから始まります。月に1-2時間の取り組みで、いざという時に力を発揮できるチームを作ることができます。

・チームワークの向上:普段から助け合いの文化を大切にする
・コミュニケーション力強化:日頃の情報共有を丁寧に行う
・役割分担の練習:避難訓練などで緊急時の動きを確認
・職員のスキルアップ:一人ひとりの対応力を高める研修
・職場の結束力向上:普段から「困った時はお互い様」の雰囲気作り

結論
緊急事態は確かに大変ですが、それを乗り越える過程で、チーム全体が大きく成長します。現場リーダーとして、職員の皆さんの力を引き出し、一緒に困難を乗り越えていく。
その経験が、きっと皆さんの大きな財産になるはずです。

「文責 幼稚園経営コンサルタント 安堂達也」

  • LINEで送る