interview 講師インタビュー

立石 美津子 [たていし みつこ]

子育て本著者、講演家、幼児教育家。1961年大阪市生まれ。聖心女子大学卒。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後、石井勲氏に師事しながら、全国の幼稚園・保育園に漢字教育の普及に努める。平成7年、株式会社パワーキッズ(教室名エンピツらんど)を創業し幼児教室を主宰。退職後は著者、講演家として活動。自閉症児の母親でもある。著書は「一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ」「心と頭がすくすく育つ読み聞かせ」「はずれ先生にあたったとき読む本」「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」など多数。

ひらがなは自己表現でありコミュニケーションツール。
子どもの世界を広げる身近な存在です。

1 就学前はひらがなを学ぶのに、最適な時期です。

 現在、小学校入学時にひらがなの読み書きができる子どもの割合は9割近くにのぼります。その理由の一つに、保護者の「小学校のひらがな学習に対する心配や不安」があると思います。そして実際のところ、小学校では、ひらがな46文字の読み書きは指導は4月中に終わります。実質約3週間という学習スピードは、ひらがなを就学前から読み書きできなければ、ついていけない速さなんです。

 また、子どもは4歳くらいになると、ひらがなに興味を持ち始めます。例えば、絵本の読み聞かせの時や商品パッケージ・銀行の看板を見た時に、なんて書いてあるか訊いてきたりします。子どもが興味を持つ時期、つまり年中や年長さんのときに、ひらがなを学び始めるのがちょうど良いですね。

 ひらがなの練習を音楽・絵画と同じように幼稚園の活動として取り入れることは、子どもの自己表現方法を増やすという意味でも大切だと感じています。

 

2 はじめに正しい書き方を覚えないと、後がたいへん。

 例えば、ある子がお友達にお手紙を書きたくなった、とします。それは自分の気持ちを相手に伝えたいからで、その表現としてひらがなを使って書く。これは自己表現ですよね。その自己表現の道具が、相手とのコミュニケーションツールになっているんです。

 しかし、このひらがなには「字形」「筆順」「鉛筆の持ち方」など理に叶ったルールがあり、それを知らずに形だけ真似るには弊害があります。大人が使う文章の中でもひらがなは7割を占めるほどで、私たち日本人はひらがなとは一生の付き合いになります。ですから、初めから正しい字形や筆順、鉛筆の持ち方をきちんと習得している方が良いと思いませんか。

 

3 正しい鉛筆の持ち方なら、疲れません。

 ひらがなの筆順は、筆で書く時に「一番自然な筆運び」を元にして作られていますので、書いていて手や指の負担が一番少ないのです。だから正しい鉛筆の持ち方をしていると、長時間書いていても疲れにくくなります。体に負担がかからないように、書きやすいように工夫されています。

 だからこそ、おかしな癖を我流でつけてしまう前に、正しい筆順が身につくように気を配ってあげることは、大人の役目だと思います。

 

4 私のひらがな指導法には、覚えやすい秘密があります。

 人の脳には海馬というところがあります。そこは長期記憶を司る場所です。海馬に記憶されるためには、その横にある扁桃体に鮮烈な印象や感情を持たせる必要があります。ですから、私のひらがな指導法は、子どもたちの楽しい感情が伴うように工夫があり、海馬に記憶されるので覚えやすいのです。

 こうした楽しい表現による指導法は、幼稚園の先生が最も得意とする分野だと思います。

 

6 台本は講師育成の反省から生まれました。

 私は、幼児や小学生を対象にした「エンピツらんど」を1995年に創業し、2015年に人に会社を譲るまで、子ども達に指導する各教室の講師の人材育成にも携わってきました。

 創業当初はこのメソッドを確立しておらず、親御さんから「先生達の教え方がそれぞれ違う」とか、「この先生の指導法は良くない」とか、「お金を払っているのにちっとも字が書けるようにならない」などの厳しいご意見をいただくことがあり、どうしたら良いのか大いに反省し考えました。

 

5 先生の指導力に影響されない台本付き。

 そこで、先生の指導力に左右されない指導法でなければいけないと思いました。字のうまい先生や教え方の上手な先生だけが子ども達を指導できるというものではなくて、この方法を習得し実践すれば、誰でも上手く指導できることを目指したのです。

 そのためにひらがな46文字すべてに対し、子どもへの効果的な伝え方を編み出し、そのままのセリフで使える「台本」を完成させました。

7 伝わりにくいイメージを印象づける「魔法の言葉」。

 例えば、子ども達に、「ここを斜めに書きましょう」と言っても、わかりにくく曖昧な言い方でその言葉が心に響かず頭に入らないんですね。そこで考案したのがイメージで伝える「魔法の言葉」なんです。子ども達の興味をそそり、記憶に残るような「魔法の言葉」を使って書き方を教え、それを唱えながら手を動かすと、どの子でも「きれいなひらがな」が書けます。

 台本では「斜め」は「滑り台」に、「結び」は「おにぎり結び」や「スプーン結び」というように、イラストと一緒に伝えることで文字の形の実感が伝わりやすくなるのです。

 

8 講演は保護者の声を知る大切な場所です。

 人前で喋ることって、私にとっては書くことと同じなんです。講演の場合は、お母さんたちの生の反応から、「今回は笑いがとれたな」「今回はウケなかった」も含め、保護者の考えを知る機会になり楽しいです。

 笑いがとれなかった場合はもちろん焦りますが、反省材料をもらったと思うようにしています。毎回、講演会が終わるとその日のうちに講演内容を修正します。

 四国で感動の渦だった話が、東京ではそれほどでもなかったとか、あるんですね。来てくださる方達や地域、環境よっても違います。そして、お母さんたちの、リアルな反響は本を書くときにも役立ちます。それが講演と執筆と並行して取り組む醍醐味ですね。

 

 

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