「離職を防ぐ職場づくり」をテーマに、教育現場における離職要因を多角的に考察し、より良い組織環境を構築するためのヒントをお届けします。
離職防止に向けた職場づくり:8つの視点からの考察
- 業務意識:一人ひとりの責任感を育む
離職防止の第一歩は、スタッフ一人ひとりの業務に対する意識から始まります。
自己責任の感覚を持ち、リスクに敏感でありながらもポジティブな思考で業務に向き合うことが重要です。
また、自発的かつ迅速な行動力、他者への貢献意識も欠かせません。
さらに、理想を追求し自己評価を怠らず、自己実現に向けて課題に取り組む姿勢が組織全体の成長につながります。
- 業務内容:適切な仕事量の配分
過度な業務負担は離職の大きな要因となります。
年間を通した展覧行事や成果発表の効果的な選別、週案における日課時間割の工夫で密度とゆとりのバランスを取り、進捗を実感できる環境づくりが重要です。
また、外部講師の活用や教師指導、様々な教育手法の導入など、業務の質と量を適切に管理することが離職防止につながります。
- コミュニケーション:連携の促進力を高める
保護者との発信・応対・連携、職員間の関係構築・課題解決・分掌分担、そして意思決定や運営管理のための会議構成など、
コミュニケーションの質は職場環境を大きく左右します。
情報共有が円滑に行われ、互いにサポートし合える体制づくりが離職防止の鍵となります。
- 労働環境:働きやすい動線の確保
物流や現金管理、職員・園児の移動動線の最適化、職員室や教室、倉庫のレイアウト改善、教材管理や備品の出し入れルールの整備など、
日々の業務をスムーズに行える環境整備が重要です。
小さな改善が積み重なり、ストレス軽減につながります。
- 時間意識:集中力を高める環境づくり
パートナー間や学年内、正規・補助職員間の時間一致、進捗管理や遅延時のサポート体制の構築、そして加速意識や記録習慣、技術習得による時間効率の向上など、
時間を意識した業務改善が職場の質を高めます。
- ICT化:書類電子化による業務効率化
デジタル入力やデータ共有、データリサイクルの促進、紙配布廃止やデジタルへの移行、ネット決済やクラウド共有、メール連絡の活用など、
ICT化による業務効率化は現代の職場において不可欠です。
適切なデジタルツールの導入が業務負担を大きく軽減します。
- 組織開発:職場の育成能力の強化
新人育成やリーダー育成、マニュアル整備などの教育訓練体制、公平な評価ポイントの設定、キャリアパスや給与体系の明確化など、
組織としての成長を支える仕組みづくりが、スタッフの定着率向上につながります。
- 労働時間:統計的視点からの分析
園児の在園時間や教育活動、自由遊び、ルーチン活動の配分、教師の在園時間や準備・記録・業務外活動の内訳、持ち帰り業務や繁忙期の状況、学年・学期による業務分布など、
労働時間を統計的に分析することで、改善すべきポイントが明確になります。
結論
離職を防ぎ、働きやすい職場環境を作るためには、これら8つの視点から現状を見直し、継続的な改善を図ることが大切です。
一朝一夕に解決できる問題ではありませんが、小さな改善の積み重ねが、より良い職場環境の構築につながります。
「文責 幼稚園経営コンサルタント 安堂達也」