研修企画をしていると、「人手不足で研修どころじゃない…」そんな声をよく耳にします。実は、この人手不足には明確な理由があるんです。
エン・ジャパンの最新調査によると、2025年5月時点で三大都市圏の派遣労働者の平均時給はなんと1,703円!33カ月連続で上昇し、ついに1,700円台に突入しました。オフィスワーク系で1,670円、IT・エンジニア系に至っては2,692円という水準です。
なぜ保育士が集まらないのか?答えは数字が物語っている
「保育はやりがいのある仕事だから、多少お給料が安くても…」そんな時代は終わりを告げています。今の求職者は、しっかりと他業界の条件も比較検討しているんです。
特に気をつけたいのが、
こんな固定観念:「子育て中の主婦なら時給が安くても来てくれる」
「園の雰囲気が良ければお給料は二の次」
「保育の仕事が好きな人は条件より環境重視」
これらの考え方、今すぐアップデートが必要です!
今こそ見直し!園の人材戦略3つのポイント
【ポイント1】給与体系の大胆な見直し
最低賃金ギリギリの設定では、もう人は集まりません。地域の相場をリサーチして、「この園なら頑張れる!」と思ってもらえる水準に調整しましょう。
具体的には:・経験年数に応じた昇給ステップの明確化
・資格手当や処遇改善費の「見える化」
・評価が給与に反映される仕組みづくり
「同期入職なら同じお給料」という横並び思考から脱却し、頑張りが報われる制度設計を目指しましょう。
【ポイント2】働きやすさの「言語化」が鍵
お金だけがすべてではありません。でも、働きやすさを感じてもらうには、それを具体的に伝える必要があります。
見える化すべきポイント:・有給取得のしやすさ(実際の取得率も公開)
・人間関係の良さ(新人サポート体制など)
・成長機会の豊富さ(研修制度、キャリアパス)
「雰囲気が良い」だけでは伝わりません。具体的な制度として整備することで、安心感を与えられます。
【ポイント3】多様な働き方への対応
パート→正職員への転換ルート、ブランクありの復職支援、未経験者の育成プログラム…これらの整備は急務です。
特に、育休明けの職員への配慮は重要。「戻ってきてくれてありがとう」の気持ちを制度として表現しましょう。
成功の秘訣は「制度化」にあり
あるこども園では、地域の時給相場を参考にした職務別賃金表を導入し、3年間で定着率95%を達成しています。ポイントは「なんとなく良い園」ではなく「制度として整備された園」だったこと。
研修を企画する皆さんも、単発の研修だけでなく、体系的な人材育成制度の構築を提案してみませんか?職員が「この園でキャリアを積みたい」と思える仕組みづくりが、結果的に最高の人材確保策になります。
まずは現状把握から始めよう
・地域の時給相場を調べてみる
・自園の離職理由を分析する
・職員アンケートで働きやすさをチェックする
小さな一歩から始めて、職員が「ここで働き続けたい」と思える園づくりを目指しましょう。人材確保の鍵は、実は私たちの手の中にあるのかもしれません。
結論
「人は条件で集まり、環境で育ち、制度で残る。三拍子揃った園に、人材不足という言葉はない。」