講師略歴
和田 知之 [わだ ともゆき]
教育研究家。聖徳学園小学校長・聖徳幼稚園長。法政大学卒業後、アメリカの知能心理学者ギルフォード博士の教育理論を教育実践する同園英才教室に勤務する。2000年より聖徳学園小学校に配属となり、知能教育や教材開発に従事。15年に現職である同校の学校長、園長、英才教室長に就任。脳科学や非認知能力についての研究を深めている。幼少期の知能の発達についての体系的な取組を研究しつつ、自園、自校で臨床実践できることを強みに「幼児教育」「知能教育」「英才教育」を専門として多くの講演や研修を展開中。著書に『47年間英才教育を実践している小学校校長が確信した単なる偏差値エリートで終わらせない最高の育て方』( メディアソフト) ほか。
和田知之がお届けする研修プログラム
①教育・保育理論
- ●非認知能力を伸ばす幼児教育
- ●ギルフォード博士の知能を伸ばす方法
- ●家庭でできるわが子のIQの伸ばし方
- ●知能テストとは何か
- ●有酸素運動が脳を育てる 他
②保育実践
- ●非認知能力を高める教育方法
- ●遊びを通じて知能を伸ばす方法
- ●子どもの脳を育てる食事と栄養
- ●子どもの脳は絵本の読み聞かせで育てる
- ●勉強好きな子どもを育てる方法 他
⑦小学校との接続
- ●幼児期と児童期の教育の違いとは
- ●小1プロブレムは何が問題なのか
- ●幼稚園からの小学校体験の作り方
- ●スムーズな就学のために幼稚園で出来ること
- ●幼少連携から幼少接続への提言 他
研修受講者の声
2023/04/08
子どもの自主性を伸ばす指導法をお伝えしました。
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子ども達は楽しむことで自然に頭がよくなっていく。
1 幼児期の教育は、効果があるものだからこそ責任が重い。
子ども達をキャンパスだとすると、中学生以上の子は色々な色によくも悪くも染まっていて、考え方や性格が定まっています。しかし、幼稚園児や小学校1年生くらいの子ども達は、まだそうなってはいなくて、白紙に近く無限の可能性をもっています。実際、子ども達は10歳くらいにはもう考え方が固まっていたり、性格が出来上がっていたりするので、その後に親や先生から新たなことを伝えられたとしても、自分の考えと違っていたらスッと素直に入ってはいきません。なので、その年齢になる前に非認知能力を身に付けておくことが大切です。幼児期だからこそ効果がある教育なので、責任の重い仕事だと思っています。
2 脳科学研究のきっかけは、非認知能力の重要性を感じたことから。
非認知能力を高めることは、知識を詰め込む従来型の勉強よりも重要なのではないかと思ってきたことが、脳科学と非認知能力を研究しようと思ったきっかけです。実際に海外の統計データでは非認知能力の高い子は勉強や学習が効率的だという結果が出ているので、非認知能力は育てていかなくてはいけないし、その重要性を保護者に伝えていかなくてはと考えています。
従来の学校教育は明治時代から続いてきているもので、今のやり方はアクティブラーニングとは言いながらも、従来とそれほど変わっていないと思っています。最新の脳科学の研究結果を取り入れているわけではないので、学習効果が効率的にはなっていないのです。
3 子ども達は楽しむことで自然に頭が良くなっていく。
学習効果について考えてみましょう。考える力をつけるとなると、課題をしたり、ドリルをしたりと思うかもしれませんが、子どもの気持ちに反して無理にやったとしても効果は上がりません。なので、子ども達が喜びそうな頭を使う遊びを紹介して、どんどん遊んでもらいます。子どもたちは遊びを楽しむ、楽しむことで自然に頭がよくなっていくという感じですね。だから遊びのように夢中になって取り組めるようなゲーム性を、どれだけ取り入れていけるか、というところに工夫が必要なんです。
4 小さい頃は考える力を伸ばす最適な時期です。
私は子どもの考える力を伸ばすには、受験勉強を意識するようになる以前から、つまり幼児期の小さいうちから知育を意識した取り組みが必要だと考えています。例えば、小学校高学年になって中学受験に挑むとなれば、受験勉強をしなければならない。中学生になれば部活に生活の時間をとられるというような時間の制約があります。そうなると、結局その時点で取り組む勉強は無理やりに詰め込む苦しい勉強となってしまい、ゆとりを持って学びを楽しむというような時間はありません。なので、勉強が本格的に始まる前、時間や気持ちに余裕のある小さいときに、学習の基礎力となる考える力を伸ばしていくことが大事だと思っています。
5 日本の子ども達の未来を希望に変えるために。
なぜ幼児教育の重要性を私が訴えているかと言うと、日本の将来を担うのは現在の子ども達だからです。現在の社会の状況を思い浮かべてください。日本の将来予測が低落傾向になっているというのはみんなが認めていて、それが今後も続くことも大体わかっていると思います。日本の子ども達の未来は信号で表現すると、今は黄色信号、注意信号になっていて、まさにこれから赤信号になろうとしている状態です。そうした傾向を、違う方向性に変えていきたいと思っています。日本の子ども達の将来が、悪い方向に進んでいくのを転換させたい、青信号に変えたいという気持ちがこの仕事の原動力です。
6 保護者には子どもより前に理解して欲しいことがある。
保護者の方は日常生活に追われているということがあるのかもしれませんが、多忙すぎるあまり教育に対しては、あまり詳しくないという印象があります。つまり、親も学ぶ機会が必要なのです。子ども達が学んでいることやその意義についても、今まで知らなかったことを知るわけなので、子ども達に対する効果も大きくなっていきます。子どもは、保護者と一緒に住んで、共に生活しているわけなので、学校で「こうしたほうがいいよ」と伝えても、保護者が真逆の考え方であれば教育効果は打ち消されてしまい、子どもには身についていきません。なので、保護者には最初に理解してもらわなくてはいけないと思います。子どもを変えるのであれば、保護者の考え方自体を変えていかなければならないと強く思いますね。
私は、保護者には、子どもの考える力と非認知能力を伸ばすことの重要性を伝えていきたいと考えています。それと同時に、その能力の伸ばし方のノウハウを伝えていくことです。この2つを啓蒙していくことが教育研究家としての目標です。